看取り士日記(284)~支えあって生きる~

看取り士日記(284)~支えあって生きる~

2018年12月19日(水)8:00 AM

 コスモスの花が美しい季節に心安らぐ。
 シングルマザーの女性からの依頼。5歳の息子さんが緊急入院を余儀なくされて入院。24時間付き添いのために、シャワーの間、病院での付き添いを交代してほしいとのことだった。
 幼い子供さんの苦しみ・痛みは、若いお母さまの苦しみ・痛みそのもののように見えた。母の愛は深く、切ない。「大丈夫です」と背中をさすりながらお母さんに触れると、その辛さが軽くなったかのように笑顔を向けられる。
 一人では生きていけないのが人間。若いお母さんの心の余裕が、幼い子供さんの笑顔に変わる。支える人には支えが必要と言われているが、その言葉をまた教えられた。

 翌日、秋晴れの空の下、久しぶりに寺田一清先生にお目にかかる好機を頂く。寺田先生との出逢いは今から20年ほど前にさかのぼる。離島で看取り家「なごみの里」をする私に1本の電話があり、とても凛として美しいお声で「柴田さん、天分塾に講演に来てください」と。ご紹介者は日本を美しくする会、鍵山先生だった。
 今回の訪問でも93歳となられた寺田先生の人生を語りながら、私達を教え導いてくださる。39歳で森信三先生(日本の哲学者・教育の神)との出会いから始まる寺田先生の人生をお話し頂く中で、言葉の宝石を私達はたくさん頂いた。

「何が一番大切ですか?」の質問に明確に「立腰」と答えられる。そして、生活の3か条として、

1.足を組まず
2.腰を立てる
3.愚痴を言わず

 この短い文字の中に、全てがあるとお話しくださる。閉塞感のある日本だが、森信三先生が、晩年「日本は、2025年に立ち上がるであろう。その再生の原動力になるのは二宮尊徳の教えに基づくものであろう」と予言された話もあった。
 瀬戸の海はキラキラと輝いて、日本の明るい未来を語るかのようだった。小さな少年の病室に詰めていた私にとって、何よりの恵みだった。
 沢山のご縁の糸が織り上げてくださる私の人生を、最期のその時まで美しくと導いてくださる方々に感謝 合掌



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