2026年01月20日
日本看取り士会は、2026年4月より、「大家族構想 ~ 母性で支えるまちづくり」事業を開始します。
家族や地域のつながりが弱まる今、私たちが目指すのは「誰もが最期まで尊厳を持って生き、安心して旅立てる社会」です。
そのために、血縁だけに頼らず、地域そのものを家族のように支え合える関係を、もう一度つくっていく取り組みです。
岡山市で運営している「こども・おとな食堂 ももたろう食堂」や、看取り士・見守りボランティアの“エンゼルチーム”の活動を土台に、住まい・交流・見守り・看取り支援をゆるやかにつなげて、地域づくりを進めていきます。
背景:家族と地域の支え合いが薄れてきた今
少子高齢化、単身世帯の増加、未婚・晩婚化などにより、岡山県内でも「おひとりさま」の中高年・高齢者が増えています。暮らしの中で、次のような困りごとが起きやすくなっています。
- 家族形態の変化や地域コミュニティの希薄化により、「いざというとき」頼れる人がいない
- 経済格差や孤立の影響で、支援を求めづらい人ほど生活基盤を失いやすい
- 介護や看取りを任せられる家族がいない「看取り難民」や、ペットの最期をどう迎えればよいか悩む人が増えている
その結果、「どこで・誰と・どう最期を迎えればいいのか」という不安を抱えたまま暮らす方が少なくありません。
日本保健医療大学教授(保健医療学部看護学科長)小林美奈子先生は、当会の「ももたろう食堂」を訪れた際、次のように話されています。
「ここは看取りが必要とされる人たちとその家族や支援者が集まるだけでなく、安価でおいしい食事や楽しい会話を楽しめる場所です。(中略)このような交流の場は、いざ看取りが必要となったとき、顔なじみの関係ができ、地域の人たちで支え合える人間関係の土壌が形成される場だと思いました。」
大家族構想は、この“土壌”を地域全体に広げていく挑戦です。
「大家族構想」とは?
大家族構想は、血縁を超えた家族のようなつながりを地域に根づかせるための、まちづくりプロジェクトです。大切にしているキーワードは、次の4つです。
1. 多世代共生
子ども・若者・子育て世帯・高齢者・生きづらさを抱えた人・ペットが、同じ地域の中で自然につながり、日常の交流の中で見守り合える関係をつくります。
2. 互助循環
「助ける人/助けられる人」を固定せず、できること・得意なこと・空いている時間で役割を持ち寄る、循環型のコミュニティを目指します。
3. 地域の“母性”の再生
困っている人を自然に包み込み、「放っておけない」と手を差し伸べる――そんなあたたかな文化を地域に取り戻します。経済力の有無よりも、関わり合いを大切にした生き方の再設計です。
4. 「安心して死ねる」環境づくり
日常の交流から介護・看取り、そしてペットの最期まで。人生のさまざまな局面を地域全体で支え、「最期のときに一人ぼっちにさせない」仕組みを整えていきます。
事業の主な内容(2026年4月~/岡山での取り組みイメージ)
※具体的な実施内容・スケジュールは、関係機関・地域住民のみなさまと相談しながら決定します。ここでは現時点の構想をお伝えします。
1. 「居場所」としての食堂・サロン機能を強化
- 岡山市北区津高で運営中の「こども・おとな食堂 ももたろう食堂」を中心に、ひとり親家庭/高齢者・おひとりさま/障がいや生きづらさを抱える人など、多様な人が顔なじみになれる居場所として機能を拡充します。
- 食事だけでなく、看取り・介護・ペットの最期などについても、日常の会話の中で気軽に相談・情報交換できる雰囲気づくりを行います。
2. 多世代の「住まい」と見守りネットワークづくり
- シングルマザー、高齢者、若者などが、互いに見守り合う多世代シェアハウスや、一時的な居場所づくり
- 看取り士・エンゼルチームの経験を活かし、「いざという時に駆けつけられる関係性」を、住まいと生活圏の中で育てます。
3. 看取り・ペット看取りの「学び」と「相談」の場を広げる
- 「看取り学講座」「ペット看取り学講座」の開催を強化
- 「死を前にした不安を、誰かと話せる」「自分や家族の最期を、前向きに考えられる」といった、プラスの死生観を広めます。
4. 地域ぐるみの“大家族”づくりに向けた連携
- 行政、医療・介護・福祉機関、学校、地域団体、企業などと連携し、「地域全体が、ゆるやかな家族として支え合う」モデルづくりを進めます。
- ここで得られた知見は、将来的に他地域へ共有し、岡山発の“大家族モデル”として全国へ発信していく予定です。
今後、随時SNS・ホームページ等で情報発信してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
参考資料:
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