看取り士日記(308)~祈りの中で~
2020年11月11日(水)4:01 PM
暑さの残る中、萩の花が風に揺れる季節。
第7回 日本の看取りを考える全国フォーラムが9月26日、名古屋において無事終了する。初のオンラインで各地と名古屋会場をつないでのフォーラムだった。
ハラハラドキドキと会場の熱気の中で基調講演、大門先生、経済産業省、藤先生、そして鼎談。いつものテーマ「あなたは誰に看取られたいですか」今回はコロナ禍と言うこともあり、パネリストの皆様の言葉は貴重なものだった。
こうして大成功に終わることができたのも、たくさんの皆様の支援のおかげと胸が熱り何度も涙が込み上げた一日だった。
数日後、ロサンゼルス映画祭での舞台挨拶、授賞式と続く。
映画「みとりし」は作品が特別賞の茶の間賞に輝き、主演賞 榎木孝明様、新人賞村上穂乃佳様と3冠を受賞させていただく。
そんな中に届いた1本の電話。
「妻が栄養を取れなくなってあと数日と死の宣告を受けました。病院ではコロナ禍で面会制限が厳しく、1人30分に限られています。このまま妻を病院で送ることはできません。自宅へ帰したい。助けてください」こんな連絡だった。
長らく連れ添った奥様の旅立ちを受け止めきれない悲痛な思いが伝わる。相談を受けながら心からの祈りを捧げる。人は必ず死を迎える。
赤ん坊の時、抱きしめてられて祝福を受けたように、その最期の時、抱きしめられて別れることこそが豊かさだと私はたくさんの看取りを通して教えられた。
誰もが喜びの隣にある別離。いつも覚悟しながら生きることの尊さを教えてくださる利用者様に感謝 合掌
文責 柴田久美子