看取り士日記(335)~もう大丈夫。ありがとう~
暑さもいくらか和らいできた頃だった。
87歳男性の方だった。病院を退院され、御自宅での看取りを希望された。
奥様は御主人と元気な時から、最期まで自宅でと約束をされていたと言う。旅立ちの時まで一緒にいる事。口が渇いたときなど水で湿らせてあげたい、と。
ご長男様もお母様が後悔のないように看取らせてあげたい。お母様の体調を心配され、休める体制を作ってあげたいと看取り士への依頼があった。
10月2日、プラスの死生観と看取りの作法を家族の方にしっかりお伝えし、ご家族がひとつになられた。
3日21時より夜間の付き添いをさせていただいた。奥様、長男ご夫婦、お孫様はいつもそばにいて声をかけ、体に触れながら笑ったり泣いたりしながら思い出話をされていた。嫁いだ娘様が来ると連絡があり、御本人様に「娘さんが来られます」と声をかけ続けた。
娘様が到着され、お父様の周りを皆様で囲む。もうその頃には「頑張れ頑張れ」と言う言葉から「もう大丈夫。ありがとう。ありがとう。」という言葉が皆様の口から出ていた。そして本当に穏やかに旅立って行かれた。
最初は皆様がお父様に触れていらっしゃったが、最後はお父様を囲み家族が1つの輪のように、綺麗な一輪の花の様なとても暖かい空間だった。それを見てお父様はきっと安心して旅立たれたと感じた。大きな感動をいただいた。
ご長男様は「ほんとに最期の時看取り士さんがいてくれて安心し、とても心強かった。」とおっしゃってくださった。
皆様とのご縁に感謝し、看取り士としての役割を誇りに思った。
この尊い場面に立ち合わせて頂けた有難さに感謝 合掌
担当看取り士 矢嶋洋子
文責 柴田久美子
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