看取り士日記(342) ~壮大な力で導かれたお父様~

看取り士日記(342) ~壮大な力で導かれたお父様~

2023年09月20日(水)11:08 AM

 

数年前に映画「みとりし」をご覧になったご長女様ご夫婦は、お母様の最期に心残りを経験されて、お父様は在宅介護を決めておられた。しかし、ご家庭の事情ご親族との折り合い等々大変に迷われた結果、一時介護老人保健施設へ入所し、水分補給の点滴開始を決められた。入所の際にご長女様は、担当医師に「万が一の時は家で旅立ちたい」と本人の望みをお願いされた。療養中は、見る見るうちにお元気になられて、経口摂取が可能に。ご家族、ご親族様とリモート面会を数回にわたり行う事が出来た。

ご利用者様が臨終前にご自宅へ帰られたのは、5月2日、息を引き取られたのは、5月4日の夕方だった。

その日は休日、ご本人様のご臨終後との事で呼んで下さる。

ご長女様より「今日は、今までの様なお別れの通夜では無く抱きしめて父を送る会にしました。その為に、看取り士さんに来てもらいました。」とご紹介を頂いた。

「初めまして看取り士の門井と申します。人生の最期 お父様、皆様に取りまして一番大切な時に御一緒させて頂けますことに感謝申し上げます。大変にありがとうございます。お身体が暖かい今お父様を抱きしめて、思い出や感謝、今まで言えなかったこと全てをお父様にお伝え下さい。皆様の声は聞こえています。」と、ご挨拶させて頂いて、ご長女様から看取りの作法を順に行って頂いた。

ご長男様の時に「きこえるの?」と私に確認をされてきましたので、「聴こえていますよ」と答えて、傍でその様子をご覧の医師に「聴こえていますね」と、お顔を合わせると、にっこりと頷いて頂きました。その訪問の医師も1時間ほど看取りの作法の様子をご覧になって帰られた。

 

お父様がご自宅に居る間、ひ孫様が傍に行き「おじいちゃん冷たい」と言いながら何度もお顔に触れていて、「あの時皆で抱いたからかな」とのお話も伺った。

 

壮大な力で導かれたお父様、最期に看取り士として立ち会わせて頂いたご家族様に心から感謝 合掌

 

担当看取り士 門井孝子
文責 柴田久美子

 

 

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