看取り士日記(348) ~胡瓜と茄子を手に~

看取り士日記(348) ~胡瓜と茄子を手に~

2024年03月12日(火)1:38 PM

 

5月の中頃、腰痛ではなく水腎症でステントを入れる為に入院となったが徐々に状態が悪化。時にはせん妄も起き、子供・知人・包括にも電話があり「帰りたい。」を伝えられていた。寝言でも言われていたそうだ。そんな夢を叶えたいと次女様から連絡を頂いた。

 

認定調査、退院に向けてのカンファレンスも体調不良で延期が続く。水腎症・肺炎・多臓器不全の中カンファレンスの日になり、主治医に看取り士の役割を伝え、退院の日が決まり次女様の家に帰ることとなった。退院の日が決まり次女様の家へ帰ることが御兄姉妹の中で決められていた。

 

退院2日前に状態が悪化したが次女様が「連れて帰ります。」に主治医・地域連携・訪問診療・訪問看護・ケアマネジャーと全てが整い、車中も危ない状態の中自宅に帰る事となった。

ご自宅で私も合流し、御本人のお部屋のお布団へ。御家族様・御兄姉様・お孫様で布団の周りを囲みありがとうのシャワーとなった。そして次女様に看取りの作法をして頂いた。「温かい、安心する。良かったね、お父ちゃん。大好き。」と言われるとチアノーゼが消え、声をかけた方向に顔が向いた。長男様はお父様が植えた胡瓜・茄子を取りに行かれ、力ない中も持ってもらうことが出来た。全員が「連れて帰って来て良かった。」と言われ笑みさえ浮かんだ。

一旦落ち着かれたので退室した。その後、大親友のトマト仲間の顔を見て「アッ」の一言で旅立たれた。

 

連絡を頂いたのは2時間後だった。触れられていないお二人に触れて頂いた。「温かい。」の言葉と次女様、御家族様から「帰って来られ良かった。後悔ないです。」の言葉を頂いた。その後ドライアイスを入れないことを伝え、布団ごとお父様のお部屋へ。写メを撮りながら一夜を過ごされた。

 

全てご自分でプロデュースされ、子供達に看取られバトンを渡して旅立たれたお父様に感謝 合掌   

 

   看取り士 高木由香利

                  文責 柴田久美子

 

 

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