看取り士日記(355) ~命を学ぶ~
終末期のお母様(きみこさん90歳)を自宅で看取りたいとは考えていたものの、終末医療の病院への転院を薦められて悩んでおられた時に看取り士の存在を知り、素晴らしい活動に感動したと長女様からの相談。
4月中頃「点滴が入らない。余命2週間と言われ自宅へ連れて帰ります。」とご連絡が入った。
無償ボランティアエンゼルチームも依頼があった。娘様たちも初めてのことで不安いっぱいで、留守中だけでなく、ご家族がいらっしゃる時にも寄り添わせていただいた。
ご自宅は、奈良盆地を見渡せる高台にあり、お部屋からも大和三山がきれいに見える。幼少期からずっとこの場所に住まれているきみこさん。この景色をベッドの上から毎日眺められた。
余命2週間と言われていたが、自宅に戻り1ヵ月ちょっと過ぎた早朝、長女様より「息をしていないかもしれない」と連絡が入った。すぐにお邪魔し、訪問看護の方とエンゼルケアをされる長女様に寄り添った。
実は、きみこさんが自宅に戻られてすぐご主人が入院されていたが、前日に退院されていた。「退院するの待っててくれてんなぁ」とご主人。ベッドの上に上がるのは難しかったので、背中に手を入れていただいてゆっくりお話を聴く。「どんな奥様でしたか?」とお聞きすると「耳が聞こえてるなら悪口は言えへんな」と笑いながら仰って、お二人のなれそめから色々お話くださった。長女様にはベッドに上がっていただき、看取りの作法をしていただいた。
ご葬儀もご自宅で行われ、長女様のピアノ演奏の中出棺された。「ぜひお母様とご姉妹で川の字で添い寝してくださいね」とお伝えしていたが、「父が添い寝したので、できませんでした」と笑ってお話くださった。次女様は、少しの時間だったが、きみこさんのお布団に一緒に入って抱きついて、自分の脈がきみこさんと一緒になった気がして安心してウトウトする時間を取れたと教えてくださった。
私含め、エンゼルで寄り添わせて頂いたみんなに「命」を学ばせて頂き感謝
合掌
担当看取り士 多田知恵子
文責 柴田久美子
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