看取り士日記(356) ~一人でも大丈夫~

看取り士日記(356) ~一人でも大丈夫~

2024年11月10日(日)1:59 PM

「90歳、要介護5の母を在宅でワンオペで看ております。やがて訪れる最期をどのようにして迎えられるか医師、看護師が去った後の事を考えると不安が募ります。後悔しない自宅での看取りを慌てることなく行いたいのでご教示を」という内容のお問い合わせ。

初めてお母様にお目にかかった時には開眼や会話は少なくも凛とした印象で、看取りの時はまだ少し先の事のように感じられた。ご契約をさせて頂き、ご依頼を頂いた次女様は、ご自身が今後一人になった時の不安を述べられると同時に、どれだけお母様のことを一人で精一杯やってきたか、30年間の経過を沢山、話して下さった。「その期間は母と一緒に父を看取り喪主もした。次は本当に自分が一人で何もかもやらなくてはいけない、その後のぽっかりと空いた一人ぽっちの時間が恐ろしい、不安なんです」と。このご依頼はお母様の看取りを通して次女様の人生の大切な転換期に支援、寄り添わせて頂くためのミッションと受けとめる。

旅立ちの時は、まだ先のことだとご家族様も思っていたが数日後、「すぐに来てください、母の様子が...。」とご連絡を頂きすぐに駆け付ける。次女様はしっかりお母様をベッドの上で膝枕をされ、お姉様は足に触れながら、今までのエピソードを色々お話しされていた。まだ体が温かいので葬儀社にもすぐには来ていただかず別れの時間をゆっくりとっていただいた。その間お母様の顔がなんとも美しく神々しくだんだん輝いて見えた。

お看取り後2か月近くが過ぎて最後の訪問依頼。

「少しさびしさはあるものの、これからの自分の生き方について、ゆっくり考えていきます。自分でもこんな前向きな気持ちで過ごせるなんて思いませんでした。今思えば母が仕組んだのかと思います。これで一区切りつきました。今からウクレレを取りだしてやってみようかなぁ、人様のお役に立てることもしたいです。」笑顔で明るく伝えてくださる。「なぜ看取り士会にメールしたのか思い出せないのです」と。「すべて母の仕組んだことだったのでしょうか」と、明るい声に「これからはご自身の新たな一歩をスタートしてくださいませ。お母様が何時もそばにいて見守ってくださいます」と心から祈らせていただいた。 感謝 

合掌

 

担当看取り士 井上 豊子   
文責 柴田久美子

 

 

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