看取り士日記(324)~初七日訪問にて~

看取り士日記(324)~初七日訪問にて~

2022年03月10日(木)2:21 PM

この看取り士日記は「323. 胃ろうを抜いてご自宅へ」の続きのエピソードとなります。ぜひあわせてご覧ください。

コスモスの花がやさしい季節。初七日訪問に伺う。
お嫁様が案内してくださったお部屋には、秋の陽射しがやわらかく射し込んでいる。お母様のお写真は、息子様とご一緒にゴルフに行かれたときとお話をお聴きする。
皆様に看取りの作法をしていただいたその後の出来事を、堰を切ったように話される。

 

たくさん時間があったから、思い出話をしながら、ゆっくり写真を選ばれたこと。お母様お一人の写真がなく、いつも誰かとご一緒だったこと。選ばれたお写真が息子様とゴルフという、旅立ちの日に息子様がゴルフに行かれていたほほえましいエピソードと重なる。

 

旅立たれた後、「こんな美しい姿は見たことがない」とお孫様が。湯灌の時にも、「ひ孫が小さな手で洗ってくれたのよ」とお嫁様と一緒にお母様の身体に触れておられた姿を、明るい声でお話し下さる。

 

すべて、ぜ~んぶまん丸に収まりましたと両手で大きな丸を作られるお嫁様。「家族に絆がぎゅっと強くなったようです。お母さんのおかげです」「看取り士さんが居てくださったから、亡くなってからも触れ続けていいことが分かって、みんなでたくさん触れることができました。本当に良い時間でした。本当に全部まん丸」とお嫁様。写真のなかのお母様は、笑顔でお嫁様のお話をお聴きのようだった。

 

49日訪問では、お母様の大切にされていた花器などを飾られて、静かにお話しされる。「亡くなった人に触れるのを怖いように思って居ましたが、触れる事を教わり死後のあたたかみに触れ、とても穏やかな感情になりました。今は、ほとんどの行事も終えてお礼を告げることができ感謝しています」と、お母様のお写真の前でやさしくお話し下さった。

 

ゆっくりと命を受け取ることの大切さを教えていただいた皆様に感謝 合掌

 

担当看取り士 西河美智子

文責 柴田久美子

 

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