看取り士日記(283)~美しい織物を~

看取り士日記(283)~美しい織物を~

2018年12月13日(木)8:00 AM

 コスモスの花が秋風に揺れ、心を軽くする季節。

 「第5回日本の看取りを考える全国大会」が神奈川県大和市で開催された。

 400名を超える皆様が会場にお越し頂く。当日まで動員に明け暮れた日々だった。日本看取り士会が、始まって以来の大きな会場に、どれだけの客様がお越しいただけるのかとても気になった。

 本大会、開場前、スタッフから「待たれるお客様の熱気でムンムンとして体調壊される方が出てくるほどです。予定より早く開場しました」と報告を受ける。モニターで眺める私の目にたくさんの方々が入場してくださる姿が映る。喜びのあまり涙が頬伝う。

 

 思えば第1回日本の看取りを考える全国大会を開催した時、まだ看取り士さんは100人に満たなかった。看取り士さんだけでの開催はできず、多くの方々にご尽力いただいた。そして今回400人を越える看取り士さんの力を肌で感じる大会となった。

 開会とともに美しく艶やかな花柳柳優様の日舞「藤娘」。榎木孝明さんの基調講演から始まり、例年通り、シンポジウムがスタートする。座長に奥先生、舩井勝仁先生、田ノ上先生、看取り士の泉山先生、看取り士の清水さん。

 楽屋では毎年一度、 顔を合わせる先生がたは少年、少女の様にはずんで見えた。その楽しい想いは開場の皆様に広がり、看取りと言うややもすると暗い話があたたかさにあふれた。そして 最後は鬼塚さんのピアノ。私が作詞した「やさしく ありがとう」が会場をさらにあたたかいものにしてくださった。

 まるで織物の縦糸と横糸がゆっくりと織り込まれていくかのように、皆さまの真心がやさしく、やさしく、やさしく会場に広がった。

 

 安堵して岡山に戻った私のもとに1本の電話が入る。64歳の女性からだった。

 「93歳の父がもう点滴も入らず……。助けてください」

 命の瀬戸際で私を使ってくださる方々に深く感謝して今日も祈る。

 全ての事柄が抱きしめて看取った多くの方々のお力、そしてご縁をいただく全ての皆様のおかげと深く感謝、合掌



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