
看取り士日記(364)~葬儀場でのお看取り~
八重さんに初めてお目にかかったのは、旅立たれた当日で、病院から搬送された葬儀場だった。八重さんのご長男のお嫁さんである朋子さんよりご連絡をいただき、その場に向かわせて頂いてのことだった。
ご相談では義母(八重さん)が入院中であること。かなり衰弱していて、食事もままならない状況であること、本人は家に帰りたいと言い続けていたこと、ご主人も八重さんの気持ちを一番に尊重してあげたいと思っておられること などなど…
そこで、ご本人様とご家族様の思いを実現するための準備について助言する。
退院させて自宅へ戻るためには、一番はかかりつけ医が必要であるため、現在の主治医に相談し、紹介状を書いていただくよう相談することをお伝えし、わたし自身が八重さんにお会いする日を決めて、その日は別れた。
その4日後の夜、朋子さんからLINEメッセージがあった。「義母は今朝亡くなりました」と。本日急変し、病院から呼び出されてのことだったと。朋子さんは間に合ったが、ご主人(八重さんの長男)は間に合わずだったとのこと。「今からでも充分ご家族様でお看取りができます。お義母さまのエネルギーをしっかりと受け取れますので、伺ってお伝えさせてもよろしいでしょうか?」と尋ねた。「よろしくおねがいします」とのことで、すぐに準備をして葬儀場へと向かった。
ご家族様にご挨拶ののち、八重さんと対面し自己紹介をさせていただき、改めてご家族様へ命のバトン(プラスの死生観)についてお伝えし、看取りの作法で抱いて頂き、八重さんの命のバトンを受け取っていただく。
当初、しっかりと電動ドライアイスが施されていたが、ご家族様へ説明し了承を得て、外させていただいてからのお看取りとなる。
触れ始めたとき、胸・腹部は冷えていたが、背部は温かい。八重さんの息子さんは「亡くなると触れられなくなると聞いていたから…まだ温かい母に触れることができて本当によかった」と、涙ながらに話された。
後日、初七日訪問をさせていただき、その後のご様子をうかがう。
「最期、温かくお別れができて本当によかった」とのお言葉をいただき、八重さんとのご縁を頂けたことに感謝 合掌
担当看取り士 村橋 征依
文責 柴田 久美子
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