看取り士日記(328)~逆縁の中 愛に包まれて~
芝桜の花が美しい頃だった。
看取り士の仲間の訃報のお電話を頂く。
お家に入ると、畳のお布団の上で眠っているかのような彼女。亡くなられてからすでに24時間が経過。離れたところで何とも言えないぎこちないご様子のご家族。
手をあわせ、顔にかかった白い布を取り、そっとその身体に触れる。もうすでに温もりなど感じられないほど、冷たく硬くなっていた。息子さんに「ドライアイスを外させていただいてもいいですか?」と尋ねる。
身体におかれたドライアイスを全てよけて、冷たくなった彼女をしばらく抱きしめる。
しばらくすると、近くにいた息子さんが「触れてもいいんですね」と、一緒に触れ始めてくれた。冷たくなっても、触れていたら、ぬくもりが戻ってくる。
以前、彼女は「自分の最期の時は、看取りの作法をされて逝けたら幸せだな……」と言った。
そんな言葉を思い出し、息子さんにお伝えすると「やってみたいです」とすぐに作法を実践してくださった。
病院で見た顔より、全然穏やかにみえる……と不思議そうな息子様。
お母様に「生まれてきたときと同じように、もう一度だけ娘さんを膝枕で抱いてもらえませんか?」と聞くと、迷うことなく、「やります。」と作法をしてくださった。
娘様の名前を、何度も何度も呼びながらも、母が娘を抱いている姿は、悲壮感はなく、とても清らかで美しい。言葉などいらない尊い空気が、優しく二人を包みこんでいた。
彼女の生きてきた命のバトンがご家族、周りの方に繋がり、悲しい場面があたたかな場になること、死は終わりではないことを、身をもって教えてくださった仲間の看取り士に感謝 合掌
担当看取り士 山口朋子
文責 柴田久美子
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